対話空間_失われた他者を求めて

このブログは、思想・哲学に興味を持ち、読書会活動をしている者たちが運営しています。各々が自由に記事を投稿し、自由に対話をすることを目的としたブログです。どなたでも思いのままにご意見下さい。【読書会の参加者随時募集中。詳しくは募集記事をご覧ください】

2016-01-01から1年間の記事一覧

「流れる時間」という壮大な錯覚

科学の発達した現代において、占い師や宗教家たちの予言を信じる者に対し冷ややかな目を向ける者は少なくないだろう。わたしもそのひとりである。 もっとも、予言を信じると言っても彼女たち(女に多いのでこの代名詞を用いる)がごく軽い気持ちで、例えば神…

人工知能と心

人工知能の未来 最近の人工知能の開発は驚異的だ。今年の3月、囲碁でスーパーコンピュータのアルファ碁が世界のトッププロに勝ったというニュースは、囲碁愛好家の私にとって衝撃的であった。10年程前に将棋のプロがコンピュータと対戦して破れたことが話題…

奇跡ということ

ずっと不思議に思ってきたこと 「不思議だなあ」って思うことはたくさんある。その中で僕が高校の頃からずっと、特に不思議に思ってきたことを二つ紹介したい。その一つは、「宇宙が有限であるならばその外があるはずだ。宇宙の外はどうなっているのだろう」…

人工知能が意識を持つとしたら?

この記事の目的は、このブログ上でなされたuedaさんとkuboさんの議論について、ハイデガー的視点からの総括を試みることです。 私は同じ読書会の一員として、uedaさんとkuboさんの議論の帰結を残念に思います。けれども、二人の議論の過程を尊重し、その結末…

人間は意識を持つか?

「人工知能は意識を持つか?」と問われれば、私は(この問いがカテゴリーミステイクであるかどうかはともかく)「もちろんない」と答えるだろう。ただし、それは「人工知能」を「人間」に置き換えても同じように答えるであろうという意味で、ということを断…

人間力という言葉に抱く嫌悪感について

人間力という言葉が嫌いだ。 何故ならこの言葉は独善的である。人間とはかくあらねばならぬという無神経な押し付けである。悪いことに、この言葉の使用者たちはそれと意識することなしにこの暴力的な押し付けを行なっている。無自覚な分タチが悪いといえる。…

清原和博氏のセカンドキャリアについて

私は野球にあまり関心がない。「清原」の名前も聞いたことはあったが詳しいことは何も知らなかった。しかし、覚せい剤所持の現行犯として逮捕されたのち、そのセカンドキャリアと薬物依存の関係をめぐるいくつかの報道に接するうちに、とても他人ごとではい…

なぜ旅行したいか

<モロッコのカスバ街道にて> 先月の4週間日本を離れスペイン、ポルトガル、モロッコを旅してきた。これを書いているのは帰国して一週間ほど経った頃だが日本の落ち着いた生活をしみじみと有り難く感じている。 行った所を時系列順に述べると、スペインは…

アニメ『響け!ユーフォニアム』の魅力について―感想と考察

最近、ある友人からの薦めで、一年ほど前に放映されたTVアニメ『響け!ユーフォニアム』を観た。このアニメは、高校の吹奏楽部を題材にしたいわゆる部活ものなのだが、これが想像していた以上に新鮮で素晴らしく、色々と思うところのある作品だったので、今…

死へ臨む不安

肺がんの告知を受けて 僕が肺がんと診断されたのは昨年の10月8日であった。職場での胸部のX線検診で再検査を言われたのが3年程前である。そのときは異常なしであったが、その後何回か再検査をして胸部のCTも受け、昨年の9月に肺がんの疑いがあると言われた。…

清原和博氏の逮捕について

最近世間を賑わせた話題といえば、元プロ野球選手の清原和博氏が覚せい剤所持の現行犯で逮捕されたことである。 周知の通り、覚せい剤はその使用者の心身を蝕み、社会的な死をもたらす。人は悲惨な将来が待ち受けていることをおそらく頭では理解していながら…